構造材の話(木へのこだわり)

奈良・法隆寺を思い浮かべていただければ明らかなように、構造材としての木材には千年をも凌ぐ耐久性が秘められています。 住宅だけ取り上げて見ても、江戸時代・明治時代に建てられた民家に今も人が住み続けている例は少なくありません。
高気密・高断熱が求められている現代の住居と、徒然草に「夏を旨とすべし」と綴られた開放的な日本家屋との間に、「住まい方の違い」はありますが、木が本来持ち合わせている構造材としての優れた性質に、変わりはありません。


私たちは、紀州のスギ、ヒノキの無垢材を使っています

紀州の山並 和歌山県の古名・紀伊は、古代より木材の産地であり「木ノクニ」と呼ばれていたことから転じて付けられたもの。
その伝統は現代にも引き継がれ、他の産地より手間をかけて育てられた樹齢50年~60年のスギ、ヒノキが、今も住宅用製材として盛んに生産されています。
会澤工務店の木の家は、ここで育てられた木からできています。


産地での厳しい検査を経て納められる会澤の木材

檜の断面 杉の断面
60年以上紀州桧 50年生紀州産杉
曲がり・品種違い 若い杉の断面
曲り・品種違いを製材 樹齢の若い木材
同じ樹種であっても、木材は自然素材ですから、樹齢や生育の状態、また同じ木から採れた木材でも製材する部位によって、1本1本構造材としての適性・強度にばらつきがあります。 当社は、無垢材を構造材に使用しておりますので、製材メーカーに要求される品質管理の水準は、集成材以上のものが必要となっています。

当社では、左図上の2枚の写真のような樹齢50~60年のヒノキ、スギの「芯持材」(芯の部分を製材した木材)を構造材に使用しています。
この2枚の写真を見ていただくと、樹齢の多い木の断面には中心部の赤い部分と、周辺部の白い部分が分かれているのがお分かりいただけると思います。この赤い部分のことを「心材」(しんざい)といい、丈夫で、構造材に適した部分ということになります 。

一方、左図下2枚の写真の木材は、樹齢が若く芯の部分がなかったり、芯がずれてしまっているものです。(木の曲がった部分を製材すると芯のずれが生じます) こうした木材を構造材として用いると、不具合が生じる場合があります。

下の破壊試験をした写真をご覧いただくと、同じ樹種であっても構造材としての適・不適があることがお分かりいただけると思います。

※E値とはヤング係数(弾性係数:ひずみ度)といい、応力に対する素材の変形しにくさを表す数値で、E値が大きいほど丈夫な、構造材に適した木材ということになります。
破壊検査した木材

木材の強度を引き出す乾燥技術

乾燥材と未乾燥材との含水率の比較 いかに構造材に適した木材であっても、製材したままの状態で構造材に使えるわけではありません。
伐採した直後の木には、絶乾状態のときの木材重量と同じか、その1.5倍の質量の水分が含まれており、これをそのままでおくと、やがて反りやねじれを生じさせる原因となります。 含水率とは、

  含水率=(木材に含まれている水分の質量/木材の絶乾状態の質量)×100(%)

で表される数値(D値)で、木材の反りなどの変形は、含水率が20%以下になると非常に小さくなると言われています。
製材時の木材には、秋材で柱1本(長さ3m)につきペットボトル6本分の水分が含まれていますが、乾燥を施すことにより、含水率は約1/5~1/6にまで減らすことができます。 こうして、強度が増し、精度の良い木材へと変わって行きます。

乾燥機高温蒸気式乾燥機
乾燥材には、より太い丸太が必要 さて、乾燥材は体積に含まれる水分を喪失しますので、未乾燥材のときより収縮しています。したがって、乾燥材用の原材は、未乾燥材用の原材より多くの材積を必要とします。
たとえば、角寸法105mmの柱材を製材するのに必要な丸太の末口径は、未乾燥製材品ですと14~16cmあれば十分ですが、乾燥製材品で同じ角寸法に製材するためには末口径16~18cm が必要となります。 このように、同じ太さの柱を作るのに、乾燥材だとより太い原材が必要となります。
実際には、工場での製材時に、乾燥材はあらかじめ1.5cmのオーバーサイズで製材され、乾燥後に修正挽きする工程を踏みます。

無垢材でも集成材に負けない材料強度を持つ

ハウスメーカーのパンフレットに記載されている一般材と集成材の比較表、及び当社使用紀州材の強度表
材料強度 (長期許容応力度:kgf/cm2)
    圧縮 引張 曲げ





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構造用集成材
E105-F345
90
80
115
構造用集成材
E85-F300
80
70
100




ヒノキ(ムク材)
75
45
75
杉(ムク材)
60
35
60







 





使

ヒノキKD
60年生
125
95
155
ヒノキKD
50年生
80
60
100
スギKD
60年生
90
70
115
スギKD
50年生
75
55
95
※紀州材の数値は50本のサンプルによる平均値
木造住宅を手がける多くの住宅メーカー・工務店では、はりなどの構造材に「集成材」といってひき板をその繊維方向を互いにほぼ平行にして積層接着し、強度を向上させたものを用いています。
集成材のメリットは、木材特有の欠点とされる、狂い、割れ、ねじれ、曲がりなどがおこりにくく、また無垢材では経済的に得られがたい大断面が確保できることから、大スパンの建物の建設が可能となることと言われています。
そのメリットを生かし、当社でも3階建木造建築のSE工法では集成材のはりを活用しています。

一方、会澤工務店は木造2階建て住宅では無垢材を使用することを原則にしています。

一般的には、無垢材より集成材のほうが材料強度で上回るとされ、大手ハウスメーカーの中には商品パンフレットなどで、こうした点をアピールされているところもあります。
しかし、右の表にあるとおり、厳しい品質管理と綿密な工程を経て納められた木材は、工場での試験の結果、構造用集成材に劣らない結果が現れています。

無垢材には、集成材の生産過程では必要な大量の接着剤をまったく必要としないことから、シックハウス症候群の心配がなく、健康で安全な資材といえます。

会澤の家は、土台にはシロアリの食害に強いヒバ、ヒノキを使用しています

木材はその樹種により特徴があり、その選択は重要です。
右下の写真は、シロアリと木材を同じガラスケースに入れ、100日間でどのように虫食いになるのか実験したものです。

シロアリ食害実験 上段のヒバ、ヒノキ、スギはほとんどシロアリに食われておらず、とくにヒバとヒノキは全くシロアリが寄り付いていない状態です。
ところが下段のツガ、ホワイトウッド、マツは見事に虫食いとなっています。
ホワイトウッドというのは、北欧で多く産出し、現地で集成材に加工され、主として建売などのローコスト住宅で柱などの構造材として幅広く使用されているものです。

シロアリのいない北欧産の木材ですから、シロアリに弱いのは当然のこと。大量の防蟻剤がなければ、たちどころにシロアリの餌食になってしまいます。
なお、ツガは構造材としては屋根の母屋を支える束(つか)の部分に、マツは梁の部分に使用されているもので、一般的にシロアリの被害にあうような場所では使用されていません。

シロアリが発生しやすいのは、地面に近い部分と水まわり。会澤工務店では、標準で土台にはヒバを使用し、ご要望に応じてヒノキの乾燥材と使い分けています。また、通し柱と角柱にはヒノキの乾燥材を使用、それ以外の構造柱にはご要望に応じてヒノキ、スギを使い分けています。
ヒバ、ヒノキを使用したからといって薬剤による防蟻処理が不要になるわけではないのですが、薬剤の効果も無期限ではありません。
まず日本の風土に合った樹種を選ぶことが、木材の自然の力を引き出すことにつながることを示しているといえるでしょう。